
「朝山神社」は、島根県出雲市南部の朝山町に鎮座する古社で、『出雲国風土記』に記される宇比多伎山(うひたきやま)とされる山の上にあります。
周囲は「朝山森林公園」となっており、豊かな自然に包まれた静かな境内が広がっています。
杉木立に囲まれた境内はひっそりとした空気に満ち、苔むした参道の石段を一歩ずつ上がって行くにつれて、いつのまにか日常の気配が遠のき、神域へと足を踏み入れていくように感じられます。
朝山神社は、全国の八百万の神々が出雲大社へ向かう前に、一番最初に立ち寄るとされる非常に重要な「神在社(かみありしゃ)」です。
🌿神在月の行事全体の流れや、稲佐の浜から出雲大社へと続く神事については、神在月ガイド記事で詳しくまとめています。
朝山神社の御祭神と「朝山」の由来
朝山神社の御本殿には三柱の神様が祀られています。
特に主祭神の女神さまにまつわるエピソードが、この地の名前の由来となっています。
ご祭神
- 眞玉著玉之邑日女命(またまつくたまのむらひめのみこと)
…玉のように麗しい心を持つ、容姿端正な女神 - 神魂命(かみむすひのみこと)
…出雲の守護神として崇拝される親神様 - 大巳貴命(おおむなちのみこと)
…国造りの神。別名大国主命
ご利益
- 良縁・縁結び
【歴史のこぼれ話】
『出雲国風土記』によると、大巳貴命が美しい女神(眞玉著玉之邑日女命)を妻に迎え、毎朝この地へ通われたことから「朝山」と呼ばれるようになったと伝えられています。
そのため、現在では「良縁・縁結び」のパワースポットとしても知られています。
神在月の始まり:出雲大社に先駆ける「神迎祭」
出雲大社の神迎祭といえば「稲佐の浜」が有名ですが、実はその前に、八百万の神々はこの朝山神社へ集結されます。
神迎祭(旧暦10月1日)
朝山神社では、出雲大社に先駆けて旧暦10月1日に『神迎祭』が執り行われます。
神迎神事では、拝殿でのお祓いを終えた宮司と、神籬(ひもろぎ)を携えた総代が境内を進み、神社入口の鳥居前に設けられた祭壇で、全国の神々をお迎えする神事が行われます。
神々の依り代となる神籬は白布で囲まれ、杉林の参道を上がって御本殿の周囲を巡り、宿泊所である『十九社』へと遷され、10日間滞在されます。
神送祭(旧暦10月10日)

私が参拝した際には、実際に神送祭に立ち会うことができました。
夕刻になると、境内には少しずつ参拝者が集まりはじめ、静かな空気の中で、厳かに神事が始まります。
宮司が祝詞を奏上し、玉串を捧げると、境内は言葉を慎むような、深い静寂に包まれました。
やがて、白布で囲まれた神籬が、静かに本殿のまわりをひと巡りしたあと、杉木立に囲まれた参道の石段を、ゆっくりと下りていき、神社の入口にあたる鳥居前へと運ばれていきます。

鳥居の前で宮司が鈴を鳴らすと、神々は神籬から離れ、次の神迎神事の地・稲佐の浜へ向けて送り出されます。
同日の夕刻7時。
朝山神社を立たれた神々は、そのまま稲佐の浜へと向かい、出雲大社での神在祭が始まります。
🌿神々をお迎えする舞台は、ここから稲佐の浜へと移ります。
境内の見どころ
朝山神社 ご神門

杉木立に囲まれ、苔むした石段が続く参道は、歩くだけで心が洗われるような静寂に満ちています。

朝山神社 手水舎

手水舎で手と口を清め、参拝へと向かいます。
朝山十九社

御祭神 八百万の神(やおよろずのかみ)
旧歴10月1日より10日間は、全国の八百万の神々が滞在されるご宿社です。
この期間のみ、普段閉ざされている扉が開かれ、神在月ならではの姿を見ることができます。
神在月以外の期間は、八百万の神々を遥拝する場所となっています。
天照皇大御神

天照皇大御神もお祀りされています。高天原の神々の中の最高神であり太陽の神様。
船子神社

- 御祭神:猿田彦命
- ご利益:みちひらき、交通安全、事業開運ほか
星宮神社

- 御祭神 皇之命(すめらのみこと)
- ご利益 五穀豊穣、商売繁盛、国家安寧
杉尾神社

- 御祭神 豊受姫命(とようけひめのみこと)
- ご利益 衣食住守護神、家内安全、無病息災
朝山神社の御朱印についてのご注意

朝山神社は普段、神職の方が常駐していない無人の神社です。
参拝当日に境内で御朱印をいただくことはできませんのでご注意ください。
🌿御朱印のいただき方
郵送での対応については、別記事で詳しく解説しています。事前のチェックをおすすめします。
まとめ|朝山神社を訪れて
朝山神社は、観光地というよりも、静かに祈りを捧げるための場所です。
しかし、出雲の神在月の「本当の始まり」を知るうえでは、欠かすことのできない神社でもあります。
稲佐の浜から出雲大社へと続く神事の流れを知ることで、この静かな森の社が持つ意味を、より深く感じることができるでしょう。
稲佐の浜や出雲大社を訪れる前に、まずは朝山神社で、神々の足跡に静かに心を寄せてみてはいかがでしょうか。
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🌿 神在月の神迎え神事については、こちらの記事で詳しくまとめています。
🌿 出雲大社の参拝ルートやご利益・御砂・御朱印まで詳しく解説しています。




