出雲では、旧暦10月を「神在月(かみありづき)」と呼び、全国の神々が集う特別な季節を迎えます。
この記事では、稲佐の浜の神迎神事から出雲大社の神在祭、神々をお送りする神等去出祭まで、神在月の行事の流れと見どころを分かりやすくまとめました。
神在月とは|出雲だけが「神在月」と呼ばれる理由
出雲では、旧暦10月を「神在月(かみありづき)」と呼び、全国の八百万(やおよろず)の神々が集う特別な月とされています。
旧暦10月は、他の地域では神様が留守になることから「神無月(かんなづき)」と呼ばれますが、出雲では神々が集われるため「神在月」と呼ばれています。
この神在月には、人々のさまざまなご縁を結ぶ会議「神議(かむはかり)」が行われると伝えられており、出雲は一年で最も神聖な空気に包まれる時期を迎えます。
神在月の神事の流れ

神在月の出雲では、稲佐の浜で神々をお迎えする神事から始まり、出雲大社での祭事を経て、再び神々をお送りするまで、いくつもの重要な行事が行われます。
神迎神事(稲佐の浜)
神在祭の前夜、旧暦10月10日には、出雲大社の西方約1㎞にある稲佐の浜で、全国の神々をお迎えする「神迎神事(かみむかえしんじ)」が執り行われます。
夕刻7時、暗くなった浜辺で御神火が焚かれ、注連縄が張り巡らされた中、神々の依り代となる神籬(ひもろぎ)が二本立てられます。御使神である龍蛇神(りゅうじゃしん)様が海に向かって配置され、厳かな神事が始まります。浜での神事は約20~30分です。
神事が終わると、神籬は絹垣で覆われ、龍蛇神様を先導に、高張提灯が並び、奏楽が奏でられる中、稲佐の浜から出雲大社へと続く「神迎の道」を御神幸します。参拝者もこれに続いて出雲大社へ向かいます。
🌿神迎神事が行われる稲佐の浜については、夕景や御砂のことも含めて別記事で詳しくまとめています。
神迎神事は夜間に行われ、終了後は周辺が混雑します。
そのため、稲佐の浜と出雲大社の両方に徒歩で行ける宿を選ぶと、安心して神事の余韻を味わえます。
🌿神迎え神事観覧に最適|稲佐の浜・出雲大社徒歩圏内おすすめ宿泊施設5選
神迎祭(出雲大社)
神々が出雲大社に到着すると、神楽殿または拝殿において奉迎の神事「神迎祭(かみむかえさい)」が執り行われます。
神迎祭が終わると、全国から集われた八百万の神々は、ご宿社となる出雲大社東西の十九社へと鎮まられます。
神在祭(出雲大社)
旧暦10月11日・15日・17日には、出雲大社ご本殿において「神在祭(かみありさい)」が執り行われます。
出雲大社のご祭神である「大国主大神」は、目に見えない「神事(かみごと)を司り、人々の幸せなご縁を結ぶ神様として広く信仰されています。
神在祭では、全国から集われた神々による「神議(かむはかり)」が行われると伝えられています。
縁結大祭
縁結大祭(えんむすびたいさい)は、神在祭に合わせて行われる祭典で、旧暦10月15日・17日にご本殿で執り行われます。
人と人、人と物など、あらゆるご縁がより良いものとなるよう祈りが捧げられます。縁結大祭への参列には事前申し込みが必要で、詳細は毎年秋ごろに出雲大社公式ホームページで案内されます。
神等去出祭(からさでさい)
旧暦10月17日には、出雲大社拝殿において「神等去出祭(からさでさい)」が執り行われます。
旧暦10月11日から続いてきた神議が無事に終わり、全国から集われた神々は、ご宿社である東西の十九社から拝殿へと遷座されます。神職の「お立ち〜、お立ち〜」という高声とともに神籬を離れ、神々は出雲大社を後にされます。
神在月に特別に行われる祭事と社
十九社祭
神在祭の期間中、旧暦10月11日から17日まで、ご本殿祭事の終了後に東西十九社にて十九社祭が行われます。
十九社は、通常は全国の神々を遥拝する場所ですが、神在月の間は神々のご宿社となり、この期間だけ扉が開かれ、毎朝祭事が執り行われます。
上宮祭
上宮は、出雲大社から西へ約1kmの場所に鎮座するお社です。御祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)と八百万の神々です。
神在祭の期間中は、この上宮においても人々のご縁を結ぶ神議が行われ、毎日祭事が執り行われます。
神在祭夜神楽祈祷
神在祭期間中の旧暦10月11日から16日まで、毎日午後5時より神楽殿にて「神在祭夜神楽祈祷」が行われます。
島根県内で神在祭が行われる「神在社」
島根県内では、出雲大社のほかにも、神在月に神在祭が行われる神社がいくつかあります。
全国から集われた神々は、旧暦10月1日から10日までは朝山神社に滞在し、その後出雲大社で神議を行い、神在祭が終わると万九千神社で直会(なおらい)を行った後、それぞれの地へ戻られると伝えられています。
🌿神在月だけでなく、一年を通して参拝したい出雲大社。
境内の見どころや参拝の流れを、初めての方にも分かりやすく紹介しています。
🌿「日の本の夜を守る神社」と伝えられる日御碕神社。
神在月の流れとあわせて訪れたい、出雲を代表する古社です。
🌿神在月の初めに神々が滞在すると伝えられる朝山神社。
出雲の神在月をより深く知るうえで欠かせない神社です。
🌿出雲国一之宮として知られる熊野大社。
神在月の巡拝先としても重要な位置づけの神社です。
『万九千神社』 万九千神社(まんくせんじんじゃ)は、神在祭が終わった後に、神々が直会(なおらい)を行う場所として伝えられています。今回は参拝できませんでしたが、次回訪れたい場所のひとつです。
神在月限定の楽しみ方
幸せのご縁を結ぶスタンプラリー
旧暦出雲の神在月には、出雲大社をはじめとする神在社を巡る「幸せのご縁を結ぶスタンプラリー」が行われます。
巡拝帳は無料で配布され、参拝の証として各神社で異なるスタンプを押すことができます。

実際に神社を巡りながらひとつずつスタンプを集めていくことで、神在月の流れや、神々が集う出雲の時間を、形として残していけるのも魅力です。

出雲大社では、参拝の記念として縁結びのうさぎのスタンプを押すことができます。

日御碕神社で押した参拝記念スタンプ。神社ごとにデザインが異なるのも楽しみのひとつです。

朝山神社のスタンプ。素朴でやさしい印象が残りました。

熊野大社でも神在月限定のスタンプを押すことができました。
🌿神在祭が終わった後、神々が直会を行うと伝えられる万九千神社。
今回は、出雲大社を参拝する前に稲佐の浜を訪れていなかったため、御砂のことを後から知り、予定が変わってしまい、参拝することができませんでした。
神在月の参拝は、行事の流れを意識して巡ると、より深く味わえると感じました。
神在社 巡拝記念スタンプラリー モデルルート
神在社五社を一日で効率よく巡る場合は、以下の順がおすすめです。
出雲大社 → 日御碕神社 → 朝山神社 → 万九千神社 → 熊野大社
おおよその所要時間と距離は、出雲大社から日御碕神社まで約8.9km(約17分)、その後も各社を車で巡るルートとなります。
神在社巡りモデルルート マップ
※神在月の時期は混雑や交通規制が行われることもあります。
時間に余裕をもって、無理のない参拝計画を立てるのがおすすめです。
はじめて神在月に訪れる方へ
神在月の神事は夜に行われるものも多く、特に神迎神事は暗い中で行われます。足元に注意し、防寒対策をしっかり行いましょう。
一人での参拝も可能ですが、混雑する日程や時間帯を避けると、より落ち着いて参拝できます。
神迎神事は夜間に行われ、終了後は周辺が混雑します。
そのため、稲佐の浜と出雲大社の両方に徒歩で行ける宿を選ぶと、安心して神事の余韻を味わえます。
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