日々の暮らし

娘が成人式にママ振りを着る

来年娘が成人式を迎える。娘は昨年ごろからInstagramやネットで振袖の情報を検索して、どんな振袖がいいかな、とあれこれ思案していた。

黄色系の振袖がいいな、とか言っていたのだが、「ママ振りもいいかも」と言い出した。

ままふり。聞きなれない言葉だった。

ママ振りとは、かつて母親が成人式の時に着た振袖のことで、そのママ振りを帯締めや帯揚げなどの小物で現代風にアレンジして着る人が増えているらしい。

まずはママの成人式の写真を見せて、ということで懐かしのアルバムを引っ張り出して見せると反応はいまいち。普段着もからし色のような黄色やオフホワイト、茶系を好んできている娘には、薄いピンクからブルーのグラデーションの振袖は、自分イメージと違って似合わないかも、と思ったようだった。

それでも一度着てみたいな、ということになったのだが、その振袖は今は手元にない。私は三姉妹で、あの振袖は姉のものだ。姉が着たのを私が着て、妹が着て、今は姉のところにあるだろうと思い、姉にLINEをする。

‟娘がママ振りを着ようかな、って言ってるので、貸して”

‟あれなぁ。末の妹が着てそのままやわ”

ということで、次は妹にLINEして車で振袖を受け取りに行き、持ち帰って広げてみると、

‟タンスの中に入れっぱなしやって~ん”とは言っていたが、シミとカビと薄汚れで残念なことになっていた。

とにかくクリーニングに出さなくてはならない。着物も扱っているクリーニング店か、ネットから申し込む着物の宅配クリーニングか、呉服店か、あれこれ調べてどこに出すか悩んだ結果、駅前の昔ながらの商店街に店を構えている呉服店に、振り袖のクリーニングを依頼することにした。

私はその呉服店の店主を知っているわけではないけれど、長年呉服店を営んでおられ着物のことを知り尽くしている。信頼できる洗いの業者との繋がりもあるだろうと考えたからだ。

呉服店に電話をかけてから着物を持って店を訪ねると、親しみやすい人柄のご主人(お昼過ぎに伺ったので昼食後の体操をしておられた)と温和な雰囲気のおかみさんが出迎えてくれた。

お座敷に上がり着物を広げて見ていただくと、おかみさんが「ブランド物のいい着物ですね」と言ってくださった。この振袖は、昔テレビにもよく出演していたフランス人デザイナーのフランソワーズ・モレシャンがデザインした着物で、二十数年前にはキラキラと輝いて見えていたのに、今はその輝きも色褪せている。

ご主人はシミやカビ、汚れのある個所を隈なくチェックしていく。正確な値段は業者に送って見積を取らなければわからないが、10万円は超えないが5~6万円以上はかかると思ってください。ですが、京都の着物洗いの職人が丁寧に洗い、染み抜きをするのできれいになりますよ。との言葉に安心した。

それから2週間後、ご主人から電話がありクリーニングの見積費用は6万3,000円だった。10万円近くかかるかもしれないと覚悟を決めていたので少しほっとして、クリーニングをお願いした。

約2か月後、振袖のクリーニングが出来上がったとの連絡を頂いた。早速お店に伺い新しいたとう紙に包まれた振袖を広げて見せていただく。見違えるほどきれいになり、絹の上品な艶と気品がよみがえっていた。

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